@gomixの読書記録
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| 2010/02/07 | 海の仙人 |
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アマゾンでのレビュー
- 福井県敦賀市を舞台にした作品。
描写に長けていて、現実世界の乾いた孤独感が見事に表現されています。
言い回しも見事で、飾らない文体が読みやすく好感が持てます。
(車が頻繁に出てくるのも絲山さんらしくて良いと思います。)
私自身は元同僚の女性のサバサバしたキャラクターに惹かれましたが、登場人物全員の個性がよく出ています。
ただ、ラストの展開は慌てて締めくくったような感があり、<3年後><8年後>と年月の経過が早すぎるし、文章が説明っぽいです。ここに冒頭部分の丁寧な描写が欲しいところです。
最後までちゃんと書き終えることが出来たら、きっと今より物凄い作品になっていただろうな…と思うと少し残念な気がします。 - 繊細なテーマを図太さでくるんだような小説。一文一文は雑でなく、むしろ丁寧なのに、全体として武骨な感触を残す。結果、「涙は流れないが心で泣く」作品になった。
一番好きなのは、主人公の元同僚片桐。ただひとり神様の気配を感じることができず、主人公への長い長い片思いをあたため続ける女性。孤独は「背負っていかなくちゃいけない最低限の荷物だよ」と言う女性・・・ 彼女のどこか外れたけなげさが、哀しく、いとおしい。
「寝るときは一緒でも眠りにおちるときは独りだぞ」
「うん、眠るときと死ぬときは独りなんだ・・・・・・」
孤独について、強く強く意識させられる小説だった。 - 絲山秋子さんの作品は、文章も空気感も好きです。小説として、上手。
神様とか宝くじとか設定がけっこうありえない部分もあるのに、無理なくこの世界に浸れてしまいました。
人につきまとっている孤独というのは、個人によってたぶん形は違うけど、でも逃げられないものなんだ。という感覚が、読んだ後に強く残りました。
ただ、ラストがあまり好きじゃなかったです。少しばたばたし過ぎのような気がして。
というわけで、★4つにしてしまいました。
経済的には困っていないのだけれど
社会から隔絶された環境にいる男と
なぜかその男に接触を試みる女がいて、
そこにやや不可思議な現象が起きる。
この物語の骨子を、どこかで読んだことがあると
考えていたら、答えは村上春樹でした。
村上春樹より乾いた感じと
飄々とした神様のキャラは面白いが
ラストの展開はそのままのような気もします。- 絲山作品は,男女の関係を描いたものが多いが,「孤独」というものを絶妙なタッチで描いている。
愛におぼれるでもなく、孤独にひた走るのでもない。
すぐそこに人肌の温度が感じられるからこそ、孤独が輪郭を表すのだ。
登場人物はみな,「人間は孤独である」ということを真っ向に捉えている。
孤独というものはそういうものだ。
彼らはその孤独を紛らわそうとはしていない。
他者のことを考えているようで,結局は自分の孤独について考えている。
それぞれお互いの目を見ているようで,
その視線は相手の目を透き通り、
自分の内面を見つめている。
敦賀の誰もいない海岸で,
みんなが思い思いの方向を,
遠い目で見ながら,
その視線は交わらない。
そんな情景が思い浮かぶ。
ファンタジーが,「孤独というのは人間の心の輪郭」のようなことを言っていたのが印象的だった。自分の中で,絲山作品ベスト1。
自分が本当にそう思っていないことを、幸か不幸か、書けてしまう作家はいる。
しかし、絲山さんのブログを拝見していると、やはりこの作品は彼女にしか書けないのだと思う。
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